23年9月活動報告
こんにちは。モリサワです。
いよいよ明日から10月。2023年も後半に入りました。私の過ごす町では9月23日頃から秋をにおわせる風が吹き始めました。しかし全国的にまだまだ暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
海水浴といえば夏の間の楽しみですが、実は海中の水温が下がるのはもう少し時間がかかり、10月になっても本州ではまだ泳げる場所が多いと思います。そうはいっても9月中旬よりは冷んやりするので、水温に慣れるのにほんの少しかかるかもしれません。9月を過ぎると人を刺すクラゲが出て危ないとよく言われますが、個人的経験ではあまりそうした事態に遭遇したことはなかったです。あくまでも個人的意見ですので、10月でも泳がれる方は十分お気をつけください。
兎にも角にも9月は水中で泳いで撮影できるのもあと少しということで、海と川では貪欲に探索しました。今回もその中と陸上のものも一部を抜粋いたします。
海中での撮影
推定全長60cmほどのアオブダイ。実に魅力的な風貌の、沿岸で見られる大型の魚です。9月に機材のトラブルでうまく撮影できなかったのですが、どうにかリベンジを果たせたでしょうか…。このために自宅から車で2時間かかる和歌山の南端、白野海水浴場に8月から4回も通いました。冒頭の写真と1枚目のアオブダイの写真は泳ぎ場から少し離れた開けたポイントで撮影したものです。大型の魚は比較的そういう場所で見られることが多いですね。
こちらは先月紹介した防波堤に住み着いた個体です。同じ個体かどうかはわからないのですが、周辺で数匹大型のアオブダイを見かけることがあります。こちらは全長約90cmに及ぶと思われます。
ご覧の通り、少し濁っています。海の中の水質はどうしても天気の影響を受けやすく、非常にきれいな白野海水浴場も、砂浜付近は潜ってみるとイマイチということも少なくありませんでした。それでも少し沖の方に行ってみると冒頭のような別世界が広がっていました。この付近を越えると外海に進んでしまうので、波に流されないように注意が必要です。
こちらはまた違う場所で9月29日撮影のイシガキフグ。ハリセンボン科に属する大型の魚で、1枚目の写真は推定で全長50cmを超える大きさです。
実はこのイシガキフグには個人的な因縁があって、5月にこことは違う場所で水上から撮影を行なっていた時ににわかに現れたものを撮影したのが2枚目の写真です。
この個体は推定70cm程です。この写真は水が濁っているのではなく。画像そのものが粗い。
というのも、撮影直後にGo Proが不具合を起こし、撮影したデータ全てが飛んでしまうというトラブルに見舞われました。後でそれはファームウェアの不具合であったことが判明し、アップデートで不具合事態は解消したのですが、失ったデータは戻ってきません(泣)
しかしこの日はこのイシガキフグも含めて非常に収穫の多かった日で、どうしても諦められなかった私はデータ復旧ソフトを検索し、2万円もかけて復旧したのがこの写真だったのですが、それでも解像度は完全ではなく、次こそは必ず…という暗い炎を心に灯すにとどまったのでした…。
8年ほど前の記事でもぼやいていましたが、水中撮影の機材トラブルは本当に多いです。個人的な思いと、電子機器のメンテナンスへの啓発という意味も含めてここに記録を残しておきたいと思います(笑)
河川での撮影
今年は紀州の4か所程度の川での撮影を行いました。海とは違って水温は冷たく、9月の中旬ともなると中々のもので、ウェットスーツを着ていると最初に水に浸かる時に肩から胸にかかる刺激をかなり防ぐことができますが、上流の方で1時間も潜っていると、冷たさで頭が締め付けられるような感じになってきます。
今回は詳しい言及は避けますが、生物相はそれぞれの川によって相当な違いがあり、非常に興味深いです。
日本の地形は急峻が多く、その間をうねる河川によって分断された生物相が多く、その特徴を現しているようです。
水中撮影は去年からGo Proを使うことが多かったのですが、河川の生き物は海よりもサイズが小さいので、小さな被写体に接近するマクロ撮影が上手くいかず、水中用のコンパクトカメラを再び使用することになりました。
しかし調べてみると、Go Proにもマクロ用のアクセサリがあるそうで、今後是非使ってみたいところです。
陸上での撮影
水中では水温以外季節感を感じにくいものですが、陸上ではまず体感としての気温の低下に続き、蝉の合唱が衰えて聴覚的に夏の勢いが薄れ、やがて木の葉が色づき視覚的な秋の気配が現れ始めます。
まだツクツクボウシなどは鳴いていますが、夏の蝉に変わって秋を感じさせる虫達の活動が本格的になり始めました。
日本の秋の草地の王者、オオカマキリ。ある方向での進化の極致を体現するかのような、なんとも見応えのある風貌です。
日本とポリネシアの人達だけは虫の鳴き声を言語脳ー左脳で聞き分け、言葉として捉えることができ、そうではない国々の人達は右脳ー音楽脳で処理し、雑音として聞き流してしまう、という話があります。
私の場合の聞こえ方は、虫の鳴き声はより音楽に近い聞こえ方をしていて、「雑音」のような捉え方にはなっていないようです。しかし、音のパターンを分析すれば言語的な意味を知ることもできそうですね。スズムシや、特に都会でも聴く機会の多いエンマコオロギの鳴き声は明らかに違うし、聞き分けることも簡単だと思いますが、それぞれの種が「言葉」と言えるほどの音声パターンを果たして持っているのでしょうか?
最後はこちら。私が今借りている家で撮影した、全長10cmはあろうかと思われるアシダカグモ…!!
家の構造上、どうしても虫が出入りする隙間を防ぐことができないので、こういう巨大なクモも侵入します。
私はこんなウェブサイトを作っている人間ではありますが、虫は苦手です。脊椎動物ならば、自分の縄張りにいる生き物を明確に学習し、常に自分と認識する相手との距離を測った動き方をし、興味を持たない対象にはあまり近づこうとしません。
しかしながら、節足動物は特に小型のものほど人間をあまりはっきりと認識していない様子で、生活に利害のない人間から明確に距離を取ろうとしない場合が総じて非常に多いように思います。
神経系や体のサイズに関係すると思われる認識力のズレ、人間など、利害関係の乏しい異なる系統の動物との距離の取り方の不明瞭さが原因となるせいか、意味もなくこちらに近づいてきたり、身体を這い回ったりする、そうした彼等の生き方には共感を覚えません…。
だからと言って何の理由もなく無作為に命を奪う人間の行動にも全く共感はできませんので、私は自分が敵と認識しない煩わしい虫達は捕まえて家の外に出すことにしているのですが、このアシダカグモは信じられないほど敏捷で軽妙な身のこなしを見せつけたのです。
初めての遭遇だったので、無言の内にひとしきり度肝を抜かれたものの、おもむろに撮影した後、虫取り網で捕まえようとしましたが、まばたきする刹那に視界から姿を消し、再び現れたかと思えば、網を近づけるや否や、ふっと壁から飛び降り、自身の体から出す糸を壁のどこかに貼り付けていたようで、床に着地する瞬間にその糸の長さを調節した張力でフワリと着地し、走り去っていってしまいました。
そんな離れ業に唖然とした私はもう捕まえることを諦め、その晩を同じ屋根の下で過ごすことにしたのです。
クモは益虫と呼ばれ、特にこのアシダカグモは、その活躍ぶりから巷で“軍曹”(笑)と呼ばれているそうですが、そんな恐るべき技を持つ軍曹が寝ている私の身体を這いまわられたらたまりません。しかしながらやはり動物の観察は面白いと言わざるを得ません!
しかし軍曹のあまりの恐ろしさのおかげで節制のため控えていた酒を再開することになってしまったのです。そんな9月でした。
9月公開記事
更新数は少ないですが、9月はカエルの図鑑を少し進めることができました。できれば野生生物にあまり親しみのない人達にもこの図鑑を観ていただきたいですが、両生・爬虫類は苦手な人も多く、これらの記事を公開する時は少々複雑な思いです。
とは言え、両生類の写真のストックは現状ほとんどないのでまもなく更新はストップしてしまいます(汗)
もちろん、両生・爬虫類が大好きだという方はお楽しみいただきたいと思いますし、素敵なお写真をお持ちの方は是非ご投稿いただければ幸いです!
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ニホンアカガエル
頭胴長34〜67mm。背面は褐色〜赤褐色、全体的に滑らかで突起物はほとんどなく、少数の黒い斑点が見られる。背側線は明瞭で直線的に伸びるが、これは本種と酷似するヤマアカガエルと区別する点になる。平地に多いが宅地開発の影響で近年生息数を減らしている。
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ツチガエル
頭胴長:37〜53mm。背面は暗褐色〜灰色味のある赤褐色で、全体に不規則な黒い斑紋があり、頭部から尾部の方向に並ぶ長楕円形の隆起を持つことからイボガエルとも呼ばれる。本州、四国、九州、佐渡島、隠岐島、壱岐島、五島列島の他、北海道、伊豆に人為移入。
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トノサマガエル
頭胴長:38〜94mm。雄の背面は黄色味の強い緑色〜淡褐色〜灰褐色で、雌は灰白色〜暗灰色など雌雄差がある。いずれも背面から四肢までに黒い不規則な斑紋が点在する。関東平野、仙台平野を除く本州、四国、九州、種子島に自然分布し、北海道、対馬に人為的に移入。