23年10月活動報告〜“巨大生物との遭遇”10年越しのリベンジ〜
こんにちは。モリサワです。秋の虫の声も衰え始め、徐々に木の葉が色付き始めた10月末日。皆様はいかがお過ごしでしょうか?
今回も10月に撮影したものの一部を紹介したいと思います。
あまり撮影に出掛けられませんでしたが、収穫はとてつもなく大きくなった10月でした。
雨の日こそ撮影日和?
以前から思っていたことなのですが、鳥類に関しては雨天時はいつもと違う動きを見せたり、警戒心が少しゆるくなっている気がします。というのも雨の時の方が人通りが少なくなるので、普段人が行き来する場所で動物が行動しやすくなっている影響でしょうか。
作物の生産を行っていない休耕地はキジの絶好の棲家に。
仲間を探していたのか、一定の間隔で甲高い鳴き声を上げながらウロウロと歩き回っていました。
クルクルと辺りを見回して何かを探している様子。
このように動物のいつもと違った動きを見られることも多いのですが、雨天時は撮影に必要な明るさが足りないためピントがずれてボケやすくなったり、撮影はむしろ難しくなります。
実はこの日すぐ近くの道路でヤマドリを目撃していたのですが、残念ながら撮影には至りませんでした。ヤマドリはキジと同じキジ目の茶色い羽毛を持った鳥類ですが、私の行動圏で何回も見かけていながら撮影には悉く失敗しています(笑)ですが、いつの日かリベンジを果たすことでしょう。
尾鷲市九鬼町〜大配(オハイ)にて
10月中旬から下旬にかけてとてもお天気に恵まれましたが、三重県南東部、紀伊半島南端の串本町と東端の伊勢市の中間地点に位置する日本有数の降雨地帯である尾鷲市の端、九鬼町の大配(オハイ)という場所に友人に連れて行ってもらいました。
ここは近頃SNSなどでも取り上げられることが多くなった断崖の絶景が見られる場所で、一日の内数時間だけ透き通った青色の海が見られる「オハイブルー」で名が知られるようになっています。
行く道は約1時間半。険しくはありませんが、アップダウンを繰り返すことが多いため、歩くことに慣れていない人は休憩を挟みながらがいいと思います。
道すがら、ウェブサイトの素材に使えるものはないものかと思いながら歩いてはいたのですが…。
正直な話、風景を楽しむというよりも、そこでどんな生き物に出会えるかということに圧倒的に気を取られていて、気の利いた写真はほとんど撮れていませんでした(笑)
この場所の素晴らしさについてはこの記事よりも。「大配」で検索してもらえると、美しい写真を掲載したページが見つかりますので、そちらがよほど参考になると思います(苦笑)
ひとしきり雄大な景色(ほぼお見せできなくてすみません)を楽しんで帰る道すがら…
本州最大のヘビとの遭遇
茂みになにか動くものの気配が…!
なんと…!!
いるではありませんか!あのお方が…!!
アオダイショウです。アオダイショウは無毒で、日本本土では最大のヘビ。
ご尊顔。二枚舌をはみ出させはするものの、実に愛嬌のある顔に見えはしないでしょうか。
実のところこうしていいタイミングでアオダイショウに遭遇した経験がなく、図鑑のための撮影を始めてからは車に轢かれて死んだ個体や、夜中車で移動中に出会しただけで撮影はできなかったり、ということばかりだったので思いがけないご褒美でした。ですが、10年ぶりのリベンジというのはこちらではありません。
16時前には麓の九鬼漁港に戻りました。
ここでしばらくGo proを水中に突っ込んでの撮影になります。
三重和歌山など、南紀の漁港は山から海までの距離が近く、森からの栄養素が川から直接海に流れ込みプランクトンや護岸された岸にカキなどの貝類がよく育つのか、色々な魚が集まって来るようです。
ゴミやガラクタが海底に転がってはいるものの、透明度は高く、視界が届く範囲に集まる魚の種数が多いことがわかります。ただ、ガラクタが多いです…。
クラゲらしいクラゲに見えて、名前がタコクラゲというクラゲ。
夕まずめ、餌を求めてボラが集まります。
海底の餌を漁るボラ。
実際さらに多くの魚類を撮影しているのですが、夕方で光量が少なくなってきたため、掲載できるほどの写真は多くありませんでした。
古座川のオオサンショウウオ
この記事のタイトルになっている巨大生物とはこちらのこと。オオサンショウウオです。
オオサンショウウオは西日本の清流の比較的標高の高い場所に生息する、150cmまでに成長する大型の両生類。圧倒的な造形です。
私が和歌山県東牟婁郡の古座川町に来るのは実は3回目になり、1回目は丁度10年前の9月でした。10年前に生息情報を知って現地まで赴いたところ、NHKの取材と鉢合わせになり、川の中を探し回ろうにもお邪魔はできず、マイクロファイバースコープで撮影中のところをカメラ越しに覗かせてもらう、という形で自らの撮影を断念したのでした(数ヶ月後にその映像記録を放送で観ました)。
しかし今回分かったことは、もしその時川の中で見つけていたとしてもその時持っていたカメラでは光量不足で撮影できていなかっただろうということです。
2回目は先月ようやくリベンジできる、という思いで向かったものの、残念ながら影も形も見ることは叶わず終わってしまったのでした。
しかし今年は幸運なことに、日本オオサンショウウオの会という保全活動団体があり、その18回目の大会が和歌山県の古座川町で行われることを知り、締め切りギリギリで申し込んでこの10月末に参加することができたのです。
10/28、10/29と2日間に渡って行われましたが定員に200人を上回る盛況ぶりでした。1日目と2目の前半が講演で、2日目の後半の現地観察会で体験ダイビングというオプションがあり、ようやく撮影することができたのです。これらの個体はマイクロチップを埋め込まれ、管理された上で再び放流された個体になります。
古座川のオオサンショウウオは60年ほど前に兵庫県の朝来市から移入されたことが判明しているのですが、この地はオオサンショウウオの繁殖には適していたようです。オオサンショウウオは天然記念物に指定されているため、現在人の手で管理されながらも生息数の減少や元々大陸の種であったチュウゴクオオサンショウウオとの混雑が懸念されています。
大会での様子や、図鑑としての種の掲載は後ほど別記事で詳しく紹介しますので、今しばらくお待ちください。
その他にも現地で撮影できたものはこちら。アマゴが海に下り成長し、再び遡上したサツキマツではないかと思われますが、当日指導していただいたダイバーさんは和歌山の串本・胡坐エリアを拠点とする「ダイブクーザ」さんのインストラクターで、その方によると、撮影地の水域はダムでアマゴが海への流下と遡上ができなくなっているようで、サツキマスは通常観察できないとのこと。そうすると、この個体は人の手で持ち込まれた可能性もあります。
こちらは撮影地へ向かう途中でこれまた現地に詳しいダイバーさんが見つけてくださった貴重な植物。
キイジョウロウホトトギスは紀伊半島南部で見られる固有種で、環境省レッドリストにも記載される希少種です。控えめなようでいて、花も葉も肉厚で存在感の強い植物に見えてきます。
漢字で書くと紀伊上臈杜鵑草。ものすごく長いです…。
いかがでしたでしょうか。例年よりも暖かく感じることも多い10月でしたが、寒暖差に悩まされる日々ですのでお風邪を召されないようお気をつけください。
ところで、本州なら10月でも泳げるところもある、と先月の記事で豪語したものの、実際に生身で泳ぐことは一度もありませんでした(笑)
10月公開記事
図鑑の記事はたった1本のみの公開となり、益々ペースが下がってしまいました。ただ、喜ばしいことに9月末のテレビ番組の特集の影響でキタリスの記事は見ていただく機会が非常に増えました。今後も更新は続けていきますので、ぜひご期待ください。