サイト開設にあたって
初めてお越しいただいた方は初めまして。本サイトを主催する守沢勇海(モリサワイサミ)と申します。
本サイト・野生生物共有図鑑の管理・編集を行っています。本サイトは名前の通り、日本に生息する野生生物の情報を写真や記事で紹介し、共有しようということを考えています。
多くの人に取って野生生物とは一体どんなものなのでしょうか。大抵は関心を払うに値しない、忘れられた存在であることが多いのではないでしょうか。
人間の都市生活と関わりの薄い野生生物
日本で暮らす大勢の人の休日は、仕事で疲れた身体を休める時間であり、自分の好奇心を満足させる趣味に没頭する時間であり、大切な人と気晴らしに遊びに出かける時間であるはずで、時間を使う対象が野生生物の「観察」であることは稀だと思います。
それもそのはずで、忙しい私達は休日の遊びといえど、仕事に活かせるような内容の濃い趣味であったり、仕事上や将来の家庭を築くためのつきあいであったり、能力や人間関係そのものを育てる行為であることは少なくありません。
私達の時間の使い方は、意識的であれ無意識的であれ功利的に働いていることがあるものです。また、仮に時間を使う内容が、いたずらに一時的な欲求を満たすためだけのものであったとしても、それはその日が休日ではない人々の巧妙な戦略であったりするわけで、そうした人達の仕事によって作られた、子供から大人までを満足させる実に様々な遊び道具があふれているわけです。
そんな人間の人間のための時間にとって、野生生物などは興味の外の外でよいはずです。
幼稚園以前に出会っていた先生
しかし私達が幼い頃、まだ複雑な遊び道具の使い方について詳しくなかった頃、最大の教師は親以上に野生生物でだったのではないでしょうか。
その教師達のひとつひとつは木に止まっているセミやコガネムシ、川のカエルや魚だったかも知れません。
因みに私のもっとも古い記憶では最初の先生は公園のハトでした
私達は虫取り網や釣り竿などで彼らをつかまえ、命を奪うことも簡単だったはずです。先進国と言われる国では、人間は様々なルールや儀礼、テクノロジーを発達させ、安全に長く暮らすことができるような社会を築いた代わりに、自分たちの生き死にに直面する機会は少なくなっています。
そんな私達が生きものが必ず死ぬという非常にシンプルなルールを学ぶ機会を最初に与えるのは、常に身体一つで生きる野生生物だったのではないでしょうか。
そして、虫や蛙、魚がただ弱いというだけではなく、小さい身体の中に信じられないくらい強くしなやか力が宿っていると感じたことはありませんか?
網を持たずに素手で飛んでいる蝶を捕えたり、素手で泳いでいる川魚を掴んだりするのは、とんでもなく難しいと感じた経験はないでしょうか。
しかし、同じように身体一つで生きる鳥や獣はその難しいことを鮮やかにやってのけるわけです。同じ動物である私達が野外でそうした鳥や獣の素晴らしい動作を直視するとき、どう感じるでしょうか。私は同時に、彼らの姿を見て非常に素朴ながらも、新鮮な驚きと興奮に満ちる気がします。
そうはいっても、これまでに先に他のコンテンツをご覧になった方は気づかれていると思いますが、私には伝え手としての生物学の知識などはまるでなく、全くのゼロからこうしたものを立ち上げたわけで、サイト名に図鑑などを名乗ることもおこがましい思いです。単に野生生物の生き生きとした姿に見惚れていただけであって、まだそこから何も学んではいません。
ただ、一度立ち止まって、自分自身にもう少し彼らと向き合う時間と機会を与えてもいいのではないかと思った時、思いついたのはこういうものを作ってみようということでした。
人間の興味の外であるだけでなく、駆逐や時には消費の対象にすぎない野生生物かもしれませんが、基本的にものを持たずに、複雑な概念に支えられることなく、生身で風雪に耐え、生きる彼らをじっと観察すると、何か今まで忘れていた生命力をを思い出させてくれる気がします。植物であれば、都会の目立たない道のアスファルトの隙間からでも元気な花を咲かせているタンポポや、非常に小さくとも沢山のきれいな花を咲かせる雑草を見ると目が覚めるような思いがします。
野生生物は私たちの先生
人間も動物であり、脊椎動物と同じ身体の構造を受け継いでいる私達も、鳥や獣のような、素晴らしく俊敏でよどみない動作を行い、驚くべき持久力を発揮することができるはずです。もしかすると、それをやってのける人もいるかもしれませんが、実際にそうした人を身近に見たり関わったりするのは難しいことです。
しかしそれを現実に行う野生生物は、都会の中心に近い場所であっても意外によく姿を見ることができ、実にお手軽に観察できたりするのです。もしあなたが野外で野生生物を観察することで、ご自身の中に何か前向きな衝動を感じられたりすることがあったとすると、それは私には貴重なことと思えますし、それが私の願いです。
ですので、少なくとも私に取って野生生物は非常に価値のある情報源なのです。そうした情報を多くの人と共有することができればどれほど素晴らしいでしょうか。
環境に対して強い力を持った人間が、これまでに歩んだ道がどうであったか。これからどうあるべきか。多くの情報の中で何が正しいのか正しくないのか、何が有益で何が無益なのか知識の乏しい私には検討もつかないことですので、本サイトでは環境保全に関するテーマを端的に勧めるものではありません。
本サイトの目的はまず、あるものに目を向けることです。そしてご覧になった方が何かを感じたり、次に何かをするためのきっかけとなることです。
伝え手としての私は浅学甚だしい身ではありますが、今後もお付き合いいただくことができれば幸いです。 是非ともよろしくお願いいたします。