ムクドリ
基礎情報 | |
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学名 | Sturnus cineraceus |
大きさ | 全長24cm、翼開長40cm |
分布・時期 | 九州以北の留鳥または漂鳥で一年中みられる。南西諸島では冬鳥 |
生息環境 | 平地から山地の市街地、農耕地、公園、草地、河原など |
食物 | 昆虫やクモ類、地中のミミズや昆虫の幼虫、木の実など |
特徴・形態
雌雄ほぼ同色。頭部は黒く顔周辺の羽毛が白い。顔の白色部分は個体差が目立つ。背、脇、腹部上面は灰褐色で、下腹部から下尾筒は白い。翼はより黒みが強く、初列風切と次列風切の羽縁は白色。尾羽は外側の先端が白い。脚と嘴はオレンジ色で、嘴の先端は黒く、下嘴の基部に黒色部分がある。この部分は夏羽ではより青みがかる。雌は全体に雄よりも淡色。幼鳥も成長に比べ色が淡く、嘴が成鳥よりも短い。
分布・観察時期・生息環境
モンゴル東部、中国東北部で繁殖し、冬期は中国南部、インドシナ半島北部まで渡る。日本国内では九州以北で留鳥、または漂鳥。南西諸島では冬鳥。北海道では夏鳥だったが、近年は越冬するものも確認されている。
平地から山地の市街地、農耕地、公園、草地、河原などに生息。人家周辺に多く、丈の低い草地、芝生や河原などでよく見られる。
生態
雑食で、地表の昆虫やクモ類、地中のミミズや昆虫の幼虫などを捕り、春から秋には木の実も好んで食べる。
繁殖期は4〜7月。樹洞、人家の屋根や建築物の隙間、巣箱も利用し、中に枯れ草や枯れ葉などを集めて営巣する。本種は種内托卵を行うことで知られる種でもある。ムクドリが1日に産む卵の数は1個であり、一回の繁殖で5〜7個の卵を産む。同じ巣に1日に2個産卵されていたり、一回の繁殖期に同じ巣に8個を超える卵が産卵されていたりする場合は、種内托卵が行われている事を示している。また、卵の色や形はメスによって少しずつ異なっているため、これらの違いを見比べることも種内托卵の実態を知る手掛かりとなる。
繁殖期の終わる秋には群れを作り、夕暮れになるとそれぞれが集団ねぐらに集まり、数万羽の大群となることがある。都市部ではこれらの群れの騒音や糞が問題視されることもある。
参考文献
- 樋口広芳他 『日本動物大百科(4)鳥類Ⅱ』 平凡社 1997年
- 森岡弘之 編集 宇田川龍男 原著 『原色新鳥類検索図鑑』 北隆館 2003年 新版
- 真木広造 『名前がわかる野鳥大図鑑』 永岡書店 2012年
- 中川雄三 監修 『ひと目でわかる野鳥』 成美堂出版 2012年
- 真木広造他 『日本の野鳥650』 平凡社 2014年
- 叶内拓也他 『新版 日本の野鳥』 山と渓谷社 2014年