都市近郊の四季折々〜甲山森林公園の春
今回ご紹介するのは、兵庫県西宮市の市庁から4kmほど北に位置する甲山森林公園の動植物です。阪神間の一都市の中心に近いところながらも、一年を通して驚くほど多くの動植物に出会える貴重な場所になります。
この地域の冬は、日本海より向こうの、兵庫県の北部の冷たい空気を六甲山系が吸収してしまうため、雪がほとんど降らず、氷点下になることも多くありません。それでも、凍てつく空気からようやく解放されつつある甲山の春は、タンポポやスミレ、桜などの植物が、ほっとさせられるような非常に春らしい風景を作ってくれます。
しかし、一部の動物たちに取っては“春闘”…とでも呼ぶべき光景を目の当たりにさせてくれるのです。
3月 密やかに開花する植物ーその傍で繰り広げられる闘争
まだ桜も開花しない3月初旬。ひっそりと春の訪れを告げ始める花達。その傍では…
アセビはには有毒成分あり、馬が枝葉を食べると酔ったようにふらつくことから漢字では「馬酔木」と表記されます。
ニホントカゲの雄同士の闘争
ニホントカゲは雄が雌よりも早く冬眠から目覚め、激しく噛み合うなどの闘争を繰り返します。
この時期に森林公園を歩いていると、こうした光景によく出会います。闘いが激しくなると時には尻尾が切れてしまうことも。
ジョウビタキを撮影するときにいつも思うのは、完全にカメラを意識しているような、好奇心を感じてしまうことです。
4月 桜の開花でいよいよ春らしく
森林公園内の多くの場所に桜が観られますが、同じ甲山大師道の道なりを西に700mほど進んだ場所の北山貯水池も桜の名所です。
5月 緑が濃くなる時期、雨の日の合間
ゴールデンウィークの陽気を打ち消す雨の日。野生生物の観察をしていると、雨の日の方がより生き生きとした姿の動物を見ることもあります。
6月 動物達の新しい命をめぐる駆け引き
新緑が落ち着く頃、森林公園の動物達も次の動きを見せ始めます。
クサガメの産卵
いつもは池の中を泳ぐ姿しかみないクサガメですが、珍しく水から離れたところにうずくまる姿を見つけました。どうやら産卵中のようです。
産卵、子育てと、森林公園の生き物たちの動きも夏に向けて活発化していきます。
この場所へのアクセス
甲山森林公園は園内のほとんどの場所が舗装されて歩きやすく、自販機やお手洗いなどの設備も完備。その他の遊び場やビジターセンターにも休憩施設があり、資料や書物が所蔵されています。都会からも近い場所にあり、正に野生生物に興味を持ち始めた方が観察を始めるのにうってつけの場所だと言えます。
今回の記事では3〜6月の春に見られる生物とその行動について観察してみました。次回は夏の生き物を紹介します!
甲山森林公園ウェブサイト