生物図鑑

ミナミイシガメ

  • ミナミイシガメ
    撮影:兵庫県西宮市 2022年10月11日
  • ミナミイシガメ
    撮影:兵庫県西宮市 2022年10月11日
  • ミナミイシガメ
    撮影:兵庫県西宮市 2022年10月11日
  • ミナミイシガメ
    撮影:兵庫県西宮市 2022年10月11日
  • ミナミイシガメ
    撮影:兵庫県西宮市 2022年10月11日
  • ミナミイシガメ
    撮影:兵庫県西宮市 2022年10月11日
  • ミナミイシガメ1
    兵庫県西宮市 2022年10月11日
  • ミナミイシガメ2
    兵庫県西宮市 2022年10月11日
  • ミナミイシガメ3
    兵庫県西宮市 2022年10月11日
  • ミナミイシガメ4
    兵庫県西宮市 2022年10月11日
  • ミナミイシガメ5
    兵庫県西宮市 2022年10月11日
  • ミナミイシガメ6
    兵庫県西宮市 2022年10月11日
基礎情報
学名Mauremys mutica
英名 / 漢字Yellow pond turtle / 南石亀
大きさ甲長15〜20cm
分布・時期亜種ミナミイシガメは淀川水系を中心とした滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、亜種ヤエヤマイシガメは石垣島、西表島、与那国島、悪石島、沖縄諸島の周辺島嶼等
生息環境河川よりも池や水田に多く、流れの緩やかで水深が浅く泥質の場所
食物植物の葉や果実、水生植物、魚類、昆虫、みみず、小型の甲殻類など

特徴・形態

甲長15〜20cm。背甲の色は全体が褐色で黄色味の強いものから黒味がかったものまで変異が大きい。形状はやや扁平でなだらかなアーチを描き、隆条は幼体は3本あるが、成体になるとほぼ消失し、中央の一本が残り周囲が黒く縁取られる。腹甲は全体が淡褐色で、それぞれの甲板に黒い斑紋があり列を成す。雄は雌よりも腹甲が大きくへこんでいる。
体表は灰褐色で、目の後方から側頭部にかけて明るく黄色いラインが通り、側頭部から頸部及び四肢の基部は黄色味がかる。

亜種ヤエヤマイシガメ

亜種ヤエヤマイシガメ Mauremys mutica kami は背甲はやや幅広で高さがより低く全体が扁平で、体色が淡い。甲長15〜18cm程度で雄の方が大型になる。

分布・観察時期・生息環境

亜種ミナミイシガメ Mauremys mutica mutica は国外では中国南東部、台湾、インドシナ半島北部、ベトナムに分布する。これと同じものが国内では淀川水系を中心とした滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県で観察されるが、これらは昭和初期に台湾の集団から人為的に移入したものに由来する可能性がある。

生息環境は、河川よりも池や水田に多く、流れの緩やかで水深が浅く泥質の場所を好む。

南西諸島の亜種

亜種ヤエヤマイシガメ Mauremys mutica kami は石垣島、西表島、与那国島に自然分布し、悪石島、沖縄諸島の周辺島嶼等に移入している。

生態

どちらかと言えば夜行性で、植物の葉や果実、水生植物、魚類、昆虫、みみず、小型の甲殻類など幅広く採食する雑食性。
5月頃に交尾を行い、6〜7月頃夜間に産卵する。雌雄の体格差が少ないミナミイシガメはオスは求愛行動を行わず、雌に馬乗りになり、首筋に噛み付く形で強引に交尾を行うことが知られる。

人との関わり

京都府で以前多く見られた地域では水田の減少により生息数を減らしており、京都市の天然記念物に指定されている。滋賀県では湖西側で以前から確認されていたものに加え、湖東側でも観察されるようになり、生息域を拡大させている。資料によると、これは琵琶湖に掛かる琵琶湖大橋や近江大橋を経由して湖を横断することができるようになったためという記述がある。

国外では生息数が激減しており、中国、台湾、ベトナムでワシントン条約(CITES)の付属書Ⅱ類の他、IUCNのレッドリスト絶滅危惧Ⅱ類に記載されている。

参考文献

  • 内山りゅう 前田憲男 沼田研児 関慎太郎 『決定版 日本の両生爬虫類』 平凡社 2007年2月1日 初版第5刷
  • 松橋利光  富田京一 『山渓ハンディ図鑑10 増補改定 日本のカメ・トカゲ・ヘビ』 山と渓谷社 2019年10月1日
  • 日本爬虫両生類学会 編 『新 日本両生爬虫類図鑑』 サンライズ出版 2022年1月20日 電子版第2版
  • ミナミイシガメ(みなみいしがめ)京都市指定・登録文化財-天然記念物(その他) 京都市情報館
  • “Yellow Pond Turtle” Redlist IUCN
  • “Mauremys mutica” species+

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