ヌートリア
撮影:兵庫県西宮市 2011年9月28日 撮影:兵庫県芦屋市 2012年3月27日
泳ぎが巧みで、降雨の後の急流でも流れに逆らって進む撮影:兵庫県芦屋市 2012年3月27日 撮影:兵庫県芦屋市 2013年1月6日 撮影:兵庫県芦屋市 2013年1月6日 撮影:兵庫県芦屋市 2013年1月6日
兵庫県西宮市 2011年9月28日 兵庫県芦屋市 2012年3月27日
泳ぎが巧みで、降雨の後の急流でも流れに逆らって進む兵庫県芦屋市 2012年3月27日 兵庫県芦屋市 2013年1月6日 兵庫県芦屋市 2013年1月6日 兵庫県芦屋市 2013年1月6日
基礎情報 | |
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学名 | Myocastor coypus |
英名 / 漢字 | Coypu, Nutria / 沼狸(しょうり)、陸獺(おかおそ) |
大きさ | 頭胴長50〜70cm、尾長30〜40cm |
分布・時期 | 国内では中国、近畿、東海地方など西日本を中心に繁殖 |
生息環境 | 流れの緩やかな河川や湖沼など |
食物 | 水生植物の茎や地下茎などの他、二枚貝など |
特徴・形態
頭胴長50〜70cm、尾長35〜50cm、体重 6〜9kg。茶褐色の体毛で覆われ、鼻の周りの白い髭、大きなオレンジ色の門歯、円筒状の長く伸びる尾などが特徴的。足の爪が鋭く、後ろ足には水かきが発達している。
分布・観察時期・生息環境
南米のチリ、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル南部原産。
第二次大戦中に軍用の防寒具の素材として毛皮を採取するため、西日本で約4万頭が養殖されていたが、戦後の需要低下による放棄・逸出を経て愛知、香川、岡山、広島、島根、京都、大阪、兵庫、三重、岐阜など西日本を中心に定着した。
生息環境は主に流れの緩やかな河川下流域や湖沼。
生態
南米原産で寒さには強くないが、冬場にも活動する姿が観察できる。夜行性だが昼間も行動し、主に草食で水辺の植物やヨシやマコモなど水生植物の地下茎、ヒシの実などの他、二枚貝などを採食することもある。
護岸されていない岸辺に直径20〜30cm、奥行き数mの巣穴を堀り、そこを中心とした流域1km程度を行動圏とする。日本の市街地の河川に生息する哺乳類としては大型のため、巣の周辺の草地には獣道が目立つ。
繁殖期は一定ではなく、年に数回5〜6頭出産し、子は生後半年程で性成熟する。飼育下の寿命の記録は10年程。
人との関わり
毛皮採集のため19世紀後半にフランスで養殖が始まり、20世紀初頭に南米から欧州を経て北米に拡大した。日本で野生化している個体群の由来は戦後の需要低下及び、1950年代の毛皮ブーム後の放棄の可能性も指摘されている。
特定外来生物、害獣としての側面
生息地の水鳥との餌の競合、河川の堤防としての効果を持つ周囲の水性植物を大量に食べ尽くすことで生じる治水への影響などが懸念される他、農作物への損害が著しい。2008年の本種の全国の農作物への被害額は1億2,000万円に達し、2019年から2021年にかけては4,000万円から4,700万円に推移している。
本種への田畑での被害対策として金属、プラスチック、トタン製の侵入防止柵の設置が一般的で、捕獲には獣道周辺への箱罠が用いられる。
参考文献
- 久保敬親 『ヤマケイポケットガイド24 日本野生動物』 山と渓谷社 2005年12月20日 初版第3刷
- 多紀保彦 監修 財団法人自然環境研究センター 編著 『日本の外来生物』 平凡社 2009年6月1日 初版第2刷
- 熊谷さとし 著 安田守 写真 『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』 文一総合出版 2011年4月23日 初版第2刷
- 小宮輝之 『くらべてわかる哺乳類』 山と渓谷社 2016年4月15日
- ヌートリア 野生鳥獣被害防止マニュアル-平成22年3月版 農林水産省
- 定外来生物の解説:ヌートリア [外来生物法] 日本の外来種対策 環境省
- 栗山 武夫、高木 俊 兵庫県の外来哺乳類(アライグマ・ハクビシン・ヌートリア)の生息と農作物被害の動向(2004-2018年度) 兵庫 ワイルドライフモノグラフ 兵庫県森林動物研究センター
- 野生鳥獣による農作物被害の推移(鳥獣種類別) 農林水産省