生物図鑑

ニホンザル

  • ニホンザル
    撮影:兵庫県神崎郡 砥峰高原 2015年8月15日
    2004年の資料では兵庫県下で6つの地域を約10前後の群れが行き来していたと推測される
  • ニホンザル
    撮影:京都府京都市 岩田山モンキーパーク 2013年9月20日 
    餌付けされているグループ
  • ニホンザル
    撮影:京都府京都市 岩田山モンキーパーク 2013年9月20日
  • ニホンザル
    撮影:京都府京都市 岩田山モンキーパーク 2013年9月20日
  • ニホンザル
    撮影:京都府京都市 岩田山モンキーパーク 2013年9月20日
  • ニホンザル
    撮影:京都府京都市 岩田山モンキーパーク 2013年9月20日
  • ニホンザル1
    兵庫県神崎郡 砥峰高原 2015年8月15日
    2004年の資料では兵庫県下で6つの地域を約10前後の群れが行き来していたと推測される
  • ニホンザル2
    京都府京都市 岩田山モンキーパーク 2013年9月20日 
    餌付けされているグループ
  • ニホンザル3
    京都府京都市 岩田山モンキーパーク 2013年9月20日
  • ニホンザル4
    京都府京都市 岩田山モンキーパーク 2013年9月20日
  • ニホンザル5
    京都府京都市 岩田山モンキーパーク 2013年9月20日
  • ニホンザル6
    京都府京都市 岩田山モンキーパーク 2013年9月20日
基礎情報
学名Macaca fuscata
英名 / 漢字Japanese macaque / 日本猿
大きさ頭胴長47~65cm、尾長6〜12cm
分布・時期北海道、佐渡島、対馬、沖縄を除く本州、四国、九州、屋久島までで周年
生息環境山地の森林、農耕地、森林に近い海岸まで
食物様々な植物の葉、芽、果実、種子、樹木の樹皮、昆虫やサワガニや海辺ではフジツボなどの甲殻類、貝、海藻など

特徴・形態

頭胴長:オス53〜65cm、メス47〜55cm、尾長6〜12cm、体重5〜18kg。メスはオスよりも小型。
国内に2亜種が生息し、亜種ホンドザル M.f.fuscata の体毛は茶〜灰褐色で亜種ヤクシマザル M.f.yakui は暗灰色でより小型でずんぐりした体型。
冬毛はより長く豊かになる。

分布・観察時期・生息環境

青森県下北半島を北限とし、北海道、佐渡島、対馬、沖縄を除く本州、四国、九州、屋久島までに分布し、山地の森林、農耕地、森林に近い海岸までに生息。サルの仲間では世界最北に分布する日本固有種。

生態

昼行性で樹上及び地上で様々な植物の葉、芽、果実、種子、樹木の樹皮から、昆虫やサワガニなどの陸生の動物質、また海岸では貝やフジツボや海藻まで幅広く食べる雑食性。

数頭のオスと20〜100頭以上のメスと子から成る150頭くらいまでの群れで母型集団を形成し移動生活を行う。
交尾期は9〜2月頃で、秋になると顔と尻の赤さが鮮明になる。メスは4〜6月頃に1頭の子を産む。妊娠期間は平均173日。子は生後3ヶ月を過ぎる頃までは母親に常にしがみついて育ち、その後は子供同士で群れて遊ぶようになる。メスは一生を同じ群れで過ごす。
オスは性成熟を迎える4〜5歳頃に群れを離れ、雄同士のグループを作るか単独で行動するようになり「離れザル」、「一人ザル」と呼ばれる。それらのオスはやがて他の群れと交わりその群れのメスと繁殖する。
平均寿命は10年以下であるが、餌付け群では30年以上生きることもある。
本種の日本列島における化石は山口県美祢市の約50万年前のものが記録されている。

人との関わり

日本では古来衣食に関わるものとして肉は食料、毛皮は衣料、鎮痛・解熱の万能薬として頭の黒焼き、下痢止めのために肝、産後の肥立ちに腸を干したものなどが使用された。
文化的側面としては童話や物語の中で語られ、信仰の対象ともなり、愛玩動物としてや猿回しなどの見せ物として使役の対象になるなど、様々な形で人間に関わった歴史がある。
現在の農村では作物を荒らす獣害で警戒され、狩猟されることがある。

レッドリスト

千葉県房総半島で亜種ホンドザルが環境省のレッドリスト、絶滅のおそれのある地域個体群(LP)に指定されている。

参考文献

  • 伊沢紘生他 『日本動物大百科(2) 哺乳類Ⅱ』 平凡社 1996年
  • 久保敬親 『ヤマケイポケットガイド24 日本野生動物』 山と渓谷社 2001年
  • 兵庫の生きものたち編集委員会 編 『兵庫の生きものたち 様々な環境を生き抜く命』 神戸新聞総合出版センター 2004年
  • 小宮輝之 『くらべてわかる哺乳類』 山と渓谷社 2016年
  • レッドデータブック・レッドリスト いきものログ 環境省自然環境局 生物多様性センター
  • 久保敬親 写真 小宮輝之 解説 『日本哺乳類図譜』 山と渓谷社 2022年

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