鯨偶蹄目 cetartiodactyla
鯨偶蹄目(くじらぐうていもく)は近年の分子系統解析で、形態的な差異が著しいにも関わらず、偶蹄目と鯨目との近縁性が明らかになり、一つの系統として鯨偶蹄目を設定するに至った非常に多様な生物群である。ただし多くの資料で従来通り偶蹄目と鯨目を分けて記載する例もある。
狭義の偶蹄類についてはオーストラリア以外の全世界に分布する陸棲のシカ科、ウシ科に代表されるグループである。先端を蹄(ひづめ)が覆う2ないし4指の偶数の指を持つ有蹄獣で、通常四肢の中軸が第3指と第4指の間を通る。多くは反芻胃(はんすうい)と呼ばれる胃を持ち、食べた食物を胃の内部のバクテリアで半ば分解した後、再び口に戻して咀嚼するという特殊な消化システムを備えている。
一方完全な水中生活に適応したクジラ類は、歯を備え魚類やイカなどの水性生物を捕食するハクジラ亜目と、上顎の両側の鯨髭(げいしゅ)でプランクトンや集団で泳ぐ小型の魚類を濾し取って捕食するヒゲクジラ亜目に分かれる。また、さらに詳細な分子系統及び形態学的解析では鯨類は始新世(約5600万年前〜)のカバの祖先との近縁性も示唆されている。
分類
- 生物図鑑
- 動物界 animalia
- 脊索動物門 chordata
- 哺乳綱 mammalia
- 鯨偶蹄目 cetartiodactyla
鯨偶蹄目に含まれる掲載中の分類群
鯨偶蹄目に含まれる種
現在3種掲載
参考文献
- 岩槻邦夫・馬渡俊介 監修 『脊椎動物の多様性と系統』 裳華房 2006年9月25日
- 毛利孝之・金子たかね 見直される哺乳類の系統分類 西日本畜産学会報 2008年 J-STAGE
- 金子之史 著 高槻成紀・粕谷俊雄 編 『哺乳類の生物学 新装版 1 分類 』 東京大学出版会 2020年1月15日 新装版第1刷
- Catalogue of Life